まずは小学校低学年の頃のお話を。
その日は祖父と一緒に散歩をしていたはずなんですが、いつの間にかはぐれてしまって。
ふと気が付くと祖母がよく出入りしていた家にいたんですよね。
で、そこのおばあさんと仲良くお茶をして、お土産にクッキーをもらって帰ったんですけど。
不思議なことに祖父とはぐれてからその家に入るまでの記憶がすっぽり抜け落ちてるんですよ。
しかも結構な時間が経ってて、家に戻ったら何をしてたのか聞かれたけど覚えてないから他所のお家でおばあさんとお茶してたとしか答えられない。事実それだけしか覚えてなかったですし。
そもそもいつもの散歩コースだとその家の前は通らないはずなんです。
なんでいつもの散歩コースを外れて歩いたのか。
なんでそこに至る経緯を一切覚えていないのか。
それが一番良くわかってません。
年月が経って思い出せなくなっているわけではなく、当時既に記憶がなかったんですから。
次のも小学校の頃の話。
学校の帰り道、急に頭の上の方から呼び声がしたんです。
近くにアパートがあったし、そこに知り合いも住んでるからその人かな、って思ってそのアパートを見たんだけど誰もベランダに出てないし窓からも覗いてない。声を聞いてすぐ見上げたから隠れたにしろなんにしろ動くものがないと不自然なのに、全然何も動いてない。そもそも人の気配がしない。
空耳にしてはとてもはっきりしすぎだしなぁ、とその時はそこで終わったんです。
でも、よくよく思い出してみると物凄くおかしいんですよ。
車の行き来も人の行き来も激しいとは言わないけれどそれなりにあるところなんですが、その日は小学校の下校時間という賑やかしい時刻にも関わらず人っ子一人いないし車も全然通ってなかったんですから。人気のしないアパートもおかしい。だってそこには私と同い年の女の子も住んでるんだから。
翌日、呼び声によく似た声の人に聞いてみたけどその日は其処にはいなかったっていうし。
あの時、物凄くはっきり聞こえてきた上からの呼び声。
今思い出すとほぼ真上から聞こえてきてたんですよね。
あの時も思わず真上を見上げてましたし。あの声の人は本当に誰だったんでしょう?
これは友達の中学生の時の話。
私の話ではないので厳密には体験談ではないのですが。
友達はいわゆる『見えちゃう人』で、その日も授業中に白い服を着た女の人が見えてた。
よくあることだったし、ああまたか、って思いながらぼんやり授業を聞いてたら何か違和感。
手元を見たら筆箱の中からカッターを取り出して刃を全開に出してた、と。怖いことに利き手じゃない方の手首まであと少しってところだったらしい。音を立てないように刃を引っ込めてカッターを筆箱に戻したら、その白い服の女の人が目の前を通り過ぎて行ったんだそうです。
彼女はその日の放課後、あっけらかんと「なんか呼ばれてたのかも」と笑ってました。
さっきの話の彼女が数年前に住んでた部屋のお話もしましょう。
その部屋は彼女の実家が経営するアパートの中の一部屋だったんですけど、色々と不可思議な現象が起こる場所でもありました。
まず、携帯の電波が異常に入らない。部屋の外に出れば全然大丈夫なのに。
そして異常に寒い。冬場は部屋が全然暖まらないし、夏でも冷房要らずな日があったり。
近かったし趣味が合うこともあって彼女の部屋に泊まりこんでお喋り会などもよくやってたんですが、その時に聞いた話を一つ。
隣の部屋に男の人が住んでたらしいんですが、ある日物凄く騒がしかったんですって。
危ないオクスリをキめちゃったゾ☆みたいな叫び声が聞こえてきたんだそうです。
それだけなんですけど(笑)ある意味、怪談。それ以降はまったく騒がしくないそうなんですが。
ところで、彼女は私のことを『見ちゃうというより聞いちゃう人』だと評しておりました。
今度はそれに関わりそうなお話を少々。
高校の頃、とある借家に住んでいたのですが、とある晩に三回金縛りにあったことがあります。
冬だったと思います。羽根布団だったし。真夜中に目覚めたら身体が動かない。
それが私の金縛り初体験でした。意外と冷静で『これが噂の』とか考えてました(笑)
一度目は重いだけではなく、荒い息遣いが聞こえてきて、怖いというより気持ち悪い。
目を開けても何も見えないし(実際に目の前にあるもの以外は)
頭の中で散々キモいと繰り返していたら急にふっと軽くなったので、寝ようとしたら二度目到来。
背中に乗られたような重量感と変態臭い荒い息遣いは一回目と変わらず、どうにかこうにか身体が動くようになって、今度こそ寝てやる!と意気込んで目を瞑った途端三度目。
大人二人分くらいの重さと今度はなんか実況中継みたいな女の人の声。
眠い耳には不快な女の声は何言ってるかわからないし変態臭い荒い息遣いも健在だし、本気で気色悪くなって『ウザイ消えろ帰れ』を頭の中で連呼しながら起き上がりました。
羽根布団着て寝る時期にも関わらず汗だく。
でも何故かこれでゆっくり寝られると安堵した記憶があります。
不思議なことにその家では私だけが変な物音をよく聞いてました。
ある日寝るために布団に入ると必ず耳鳴りがして子供がはしゃいで走り回る音と笑い声がする。
その日以降、毎日毎日同じことの繰り返し。大体一年くらいだったでしょうか。
弟も妹も両親もそんなことはなくて、私だけが毎晩子供の声と走り回る音を聞いていたわけです。
今の家を建てて引っ越してからは全然ないですが、あれも一体何だったのかわかりません。
今の家も最初は家鳴りが酷かったですが今は全然ですしね。
たまに誰も居ないのに何かが居る気配がすることはありますが。
怖いというか不思議体験ばっかりですが、こんなもんです。
そんなに怖くないですよね…?自分では何が怖いのかさっぱりです。
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